絶対に休まない

自分がビジネスマンとして無能なのではないかと疑念を持ったのは18歳の時で、それが確信に変わったのは24歳の時だ。

知らない、考えられない、発想がない、やらない、できない、続けられないとないないづくしで、こりゃ対策打とうにも相当な難儀となることが予想された。とはいえ己と現実を知ったところで絶望したり悲観したりするタチでもない。好きな言葉が「まぁ、なんとかなる」である私は、楽天家である。

余談だが、この「まぁ、なんとかなる」は、やっとここで言えるようになったものだ。前職では新卒採用をしていて、就活マニュアルにでも書いてあるのか会社説明会で「社長の座右の銘はなんですか?」とよく聞かれたものだ。その質問センスねーぞと腹の中では思いつつも、そんなことは言えない。いつも回答に困ったのだ。

一方でなんとかなるという回答では学生に不安を与えるに違いない。なにか壮大で輝く言葉を持っていると思っての質問だろうが、そんなものは私にはないのである。何度か「そんなものないし、座右の銘とかそもそもダセーしセンス悪くね?」と回答していたら、新卒採用担当者に怒られたりもした。

もちろん、「まぁ」にも「なんとかなる」にも私なりに意味があるし、コトに臨むにあたって大切にしている心構えでもある。知らないしできないし思いつかないかも知れないけれど、その現状と資質をちゃんと受け入れて続けていけば、大抵のことはうまくいとおもってのことだ。

話を戻す。私にも強みが全くないわけでもない。それはスタミナだ。長時間労働が特技なのだ。22歳の5月9日から仕事は1日も休んだことがないし、起きている時間の大半は仕事に費やしてきた。それについて何とも思わない鈍感力が副次的強みだ。おまけにショートスリーパーだ。

クローバーも開店以来休みはない。大抵の釣り堀屋さんは冬にやっていないようだが当店は違う。大晦日だろうが元旦だろうが休みなしだ。平日は閑古鳥だし冬は新規でのご来店は稀だが、それでも仕事ぐらいしかやることがないから、店は常に開けている。常連さんには「休みないの?」と心配していただいたりするのだが、残念ながらそれしか能がないのである。

唯一休めるかも?というのは天災系で、特に雪が積もったら営業できないわけだが、それもなんとかしてすぐに溶かすために色々策を練ってしまっているため、結局休みはなくなりそうだ。

私はこの土地の生まれではなく、釣りもしないし家族もいない。一方お客さんはというと、やはり地元の方が多いし家族みんなでのご来店で、釣りに興味がある方々ばかりだ。私の知らない人々だ。だから今は、365日なぜご来店いただいたのか?を知るための努力をしなければならない。そのために私の特技を使っている。地を這う虫のような歩みであるが、しかしマーケティングの第一歩は顧客を知ることであるからこれでいいと思っている。

私だって本当は、ミホノブルボンやサイレンススズカのように一瞬の輝きと危うさを同居させた天才でありたかったが、ないものはしょうがない。無事是名馬というか、ハルウララのように地道にやっていくつもりである。