釣り堀カフェクローバー不動産事業部が爆誕した

夏は忙しすぎて、冬は暇すぎるのである。

お客さんがほとんど来ない冬のうちに設備の更新や工事などを行うのであるが、それももうすぐ一巡する。暇が加速するってわけだ。

極寒の地にあるクローバーの店舗は無断熱&広範なアルミサッシ単板ガラスで、ほぼ「屋根のある屋外」である。ほとんどの哺乳類や昆虫が生きることを断念せざるを得ず、エアコンを付けっぱなしになどしようものなら電気代は月に7~10万円ほど掛かってしまう。この地域のどこの家賃よりも高くなる水準だ。

お客さんがたくさんくるのならまだいいが、エスキモーさながらの厚着をして一日中待機していても、大抵は来店ゼロである。

それでも、人件費をはじめ固定費は律儀に出て行く。現状、1ヶ月分の固定費を1ヶ月の粗利で賄うことは不可能だ。冬という季節は数字の上でもきわめて冷たい。

じゃぁ休めばいいじゃないかという言もあるのだろうが、ほとんどの人にとって最果ての地である当店で夏場だけの人材採用など無理難題もいいところである。なにより私は典型的なワーカホリックで、忙しくないと死んでしまうタイプだ。

というわけで、

  • 暇だということを好機にでき
  • 冬の間の固定費分を稼ぎ
  • 楽しくて、学べて、成長できることをする


を考えるに、不動産投資に行き着いた。なかでも、私たちが選んだのはDIYボロ戸建投資である。

不動産投資は未遂の過去を持っている。15年前、仙台市内の6000万円ほどの一棟マンションを買う話が進んでいた。経験も元手もゼロだったが、それでも融資が引けた。あの頃は、そういう時代だったのだ。決済予定は2011年3月20日ごろ。直前に震災が来て、話は消えた。

あの時に不動産投資を始めていたらまた違った人生だったのかもしれないが、特段後悔はない。その後不動産を含む投資そのものにとんと興味がなくなってしまったので持っている知識が古くなってしまったと思うが、まぁボロ物件ならリスクもないからよかろう。会社に損失を出してしまったら物件は個人で買い取る予定だ。

「冬が暇だから」という理由で不動産投資をする人はあまりいないかもしれないが、行雲流水な生き方は変えることができない性癖だ。

幸い(?)、白石や蔵王をはじめとした県南地域は人口減少が著しく、街々を観察すると誰も帰ってこない古い家々がたくさんある。値が付かないどころか負債になってしまっているものが激安物件として出てくるわけだ。

また、そういった物件を買い取ることを生業にしている地元密着の不動産業者さんもあるのでサプライサイドは困らないと踏んでいる。大きな稼ぎにならず時間も掛かるゆえ所謂プロの不動産投資家は見向きもしないので、この地域においてはデマンドサイドとのバランスが崩れていてそうなのだが果たして。

この冬、ひとまず10戸ほど買った。物件価格はほとんどが10円だ。

ボロ物件DIY投資は手垢の付いた手法であるが、その分失敗も成功もノウハウが蓄積されているし、公開もされている。「自分たちだから上手くいく」などという風に思わず、気長にやるつもりだ。それよりも、物件をDIYで直すということがいかにも楽しそうで、自分の家でやるのは勇気がいるが(そもそも直す家を持っていない)10円の物件なら失敗しまくっても勉強料でお釣りがくる。リアル・マインクラフト。


仮に週休3日スタッフ1名分の人件費を35万とするとめっきり暇になる11月中旬~3月中旬の4ヶ月で計140万、できればスタッフは2名は欲しいところなので倍の280万円。年間でこのくらいは稼ぐことを目標としている。
ボロ戸建は利回り30%や50%も当たり前の世界ではあるが、全体としては無難に20%以上でマネジメントし、2027年の春までに20戸程度というスケジュール感で組んでいる。

想定利回りを低くしているのは、当社はまだ法人税を払っておらず地域や公に何の貢献もしていないので、物件を相場よりもかなり格安で、生活保護の方などを含め困ってそうな人に貸す予定だからだ。

志が低く非常にしょぼい投資活動であるが、そのくらいがうちぐらいの規模ではちょうどいいのだ。主に一人で直すことになるから、そんなにたくさん物件があっても冬の間だけでは追いつかない。また、ボロ物件は当然22年を過ぎているから建物の減価償却は4年と比較的短いし、なぜDIYなのかと言えば材料費が20万円を超えることは滅多になく一括で損金にできるため節税になるからだ(例えば工務店さんとかに頼むと20万を超えることはいくらでもあるしその場合は4年償却になってしまうが、DIYなら計上は材料費のみで修繕となるから一括償却になることが多い)。つまり、投資全体に占める損金の割合がボロ物件DIY投資は大きくなるということだ。まぁ節税しなければいけないほど儲かっていないというか現在絶賛債務超過中なのだが、キャッシュフローとしてはわかりやすくなる。長い目で見た場合には事業・BSのポートフォリオとして不動産のような長期安定資産を持っておくことは重要だ。


大儲けしたいわけではないしみんなで稼いだお金を使っての投資ゆえ、レバレッジよりも利益率と安全性の方が大事なので基本的にはキャッシュでのみ買う。借入を起こしたとしても返済比率は20%以下を保つつもりだ。王道の手法からはかなりズレているのだが、それでよいのだ。

なお、入手した物件たちは期待を裏切らない地獄絵図である。残置物・再建築不可はもちデフォルトだし、雨漏りや床・天井の崩落も高確率、人も設備も死んでいたりだが、もはや大した驚きはない。

前途多難で非常に楽しそうである。

先日定款を変えたばかりだが、不動産は事業目的に入っていないためまた変更しなければならない。我々は本当に釣り堀屋なのか分からなくなってきているが、釣り堀屋存続のためにやっているのだから釣り堀屋なのだろう。

と、前回のミミズに引き続き釣り堀とは直接関係ない話に読めるかも知れないが「冬の固定費をどう乗り越えるか?」は季節労働の我々にとって極めて重要なテーマなのだ。当店に限らず大抵の釣り堀は辺鄙なところにあり、つまり人材確保やその安定が難しい。給与を含めた待遇面を都市部と遜色ないかそれ以上にしなければならないわけだが、それはビジネスモデルが単純かつ制約が多い業態ゆえ想像以上に困難である。この辺は長くなってしまうのでまた別の機会に詳述する。

おっと。
こんな雑文を書いている「暇」はない。残置物の片付けからはじめるとしようか。