突然釣りにはまる人々

大人でも子供でも「今日が初めての釣りなんです」という方は結構いる。スタッフとしては気合いが入るものである。その人の釣り観、釣り堀観が決まりかねないので責任重大なのだ。

当店は初めて釣りをするにはよい釣り堀だと思っている。

エサは生きているわけではないから苦手意識を持たないはずだし、5つある池はレベルごとに分かれていてよく釣れる池から難易度の高いものまである。魚はたくさんいるし、たくさん釣って欲しいと思って設計している(あまり釣られたくないと思う釣り堀屋さんのスタイルもあるらしい)。

3~40分もすると慣れてきてコツを掴みだし、大きい魚がヒットのすることもある。魚ははっきりと見えるから、自分が今上手くいっているのかいっていないのかは一目瞭然だ。隣でデカいのを釣っている人が自分も同じ道具・エサなわけで、頑張ってみようとする。

とりあえずやってみる→失敗する→原因がわかってくる→小さな成功→工夫の精度が上がる→うまく行く→面白い!という感じだ。

こういう短期的成長ストーリーを楽しめるレジャーというのは結構あるはずだが、どういうわけかエラくはまる人がいるようだ。

あれ?先月も来てくれたような。あれ?先週も…あれ、昨日きたじゃん!え?今日は自前の釣り具持ってきたの?という具合だ。

「はまっている人」を見ることはよくあるが「はまっていく過程」を見られる機会はそれほどないので、そんな微笑ましい時間軸を分かち合えるのは何よりも嬉しいし、釣り堀屋やってよかったなと思う。

なかには家族全員どハマりなんてこともあり、男の子が魚に異常に詳しくなっていて色々教えてくれるようになったり、女の子が魚のアクセサリーを付けてくれていたり、お母さんが平日に「旦那と子供がいないときに釣りたくて」なんて感じで来てくれる。

さすが世界最古の趣味である。人類と釣りは切っても切れない縁なのだろう。

そんな場所にしたいと思ってはいたが、そうなってきていて嬉しい。彼らもいつかクローバーを”卒業”して、ほかの釣り場にいくことだろう。そういう送り出しの場所になれるのだとしたら本望だ。

今後も、「初めての釣り」の体験のためにできうることをコツコツやっていきたいと思っている。

ちなみに私自身も、(ほぼ)初めての釣りがクローバーである。仲間だね。