ワイ、運営日記を酷評される
店舗運営者の宿痾で電話番号は公開せざるを得ず、よって営業電話がひっきりなしに来るのである。
その9割が、SEOとMEOとインフルエンサーマーケティングだ。
私はこの3つが苦手なのである。だってそうだろう?『インフルエンサーマーケティング』って、その自称からして私は馬鹿ですと言っているようなものだ(※1)。馬鹿なのは私も同じだから別にいい。けどだからといって、私は馬鹿ですと言って回る必要はなかろう。自分たちのドメインをそうワーディングしている時点で相当センスねーぞと思うわけだ。そもそも「○○マーケティング」と言っている人のほとんどがマーケがなんだか分かっていないのではないかと疑念を持っている。単に「○○を使ったプロモーション」と言えばいいのに、なんでマーケと言いたがるのか、いつか研究したいと思っている。プロモーションはマーケのごく一部であってその全てを包含するものではないし、もし順位付けをするならプロダクトや人作りの方が重要だし、価値や価格が少しでも変わればプロモーションも全て変わるのであって、打ち出の小槌のように一つの手法で解決策となりうるようなものではないだろう。
私たちは地に足を付けてじっくり時間を掛けて顧客満足を高めていきたいと考えているから、上記の3つのような飛び道具系とは相性が悪そうではある。
彼らは平日が活動日だから、私たちにとって暇な日に電話を掛けてくる。熱心な若者だったりすると、しつこいなぁとか相性悪いかもよーと思いつつも、話くらいは聞くかとはなる。おじさんは熱い若者をなんとかしてあげたくなるものである。
とある日の若者は「うちにすごいSEOのコンサルタントがいる」「無料で分析するからそのレポートを踏まえてお話をさせて欲しい」のとことだった。
すごいコンサルさんって、面白い紹介ですね、一体何がすごいのですか?と尋ねたところ「うまく説明できないんですがとにかくすごくすごいんです。私には雲の上の人なので説明できません」とのこと。天然というか純真というか、なんともかわいらしい回答だったので、勢い商談をOKしてしまった。インバウンドにもとても詳しいとのことだったしね。日進月歩の業界だから、私が知らないうちに大きく変化しているのかもしれないと期待していた。抽象的ではなく具体的な改善案を提示してくれるとのことだったので尚更だ。
当店のWebサイトを当日までに分析してくれるとのことだった。膨大なヒアリングシートもしっかり記入して準備万端。
現れたコンサルさんはとても若い人で、24歳とのことだった。初手から暗雲である。声しか聞いたことのなかった営業さんは、なるほど純朴そうな人でニコニコしている。嫌な商談の思い出にならないように細心の注意を払い真摯に向き合おうと気合いを入れた。
「こちらが、先日ご紹介差し上げたすごいコンサルです」との紹介で始まった打ち合わせは、持ちネタではあろうがその紹介のされかたはコンサルさんにはなかなかのプレッシャーではないのか。
で、コンサルさん曰く、
- 今のアクセス数は少なすぎる。最低でも10倍、当社に全て任せていただければ長期的には2~30倍も可能
- ユーザーが望んでいるコンテンツが何一つない。これでは集客はできない。
- 各種タグの設定が不適切だ。画像も重いしサイトはリニューアルした方がよい。
などなど、ブローニングM2のごとくぶっ放してくる。どこかで聞いたことのあるフレーズばかりである。私は遭厄感を持っていたのだが、若者は留まるところを知らない。
「運営日記というブログを書いてらっしゃいますが、これは典型的なSEOの間違いを犯しているパターンです。ブログをやるといいというのは10年前のSEOです。内容も釣りをしたい人にとって有益ではなく知りたい情報でもありません。Googleはこのブログの内容で評価するため何屋なのかわからなくなりサイト全体に悪影響があります」とのことだった。24歳では10年前のSEOを知っているとは思えないが、いずれにせよなかなか辛辣である。
飲食店や釣り堀屋の運営者は何も分かっていない人が多い、そういう前提で話し続けるのは気になったが、私は自身がどんな経歴かとかどんな知識を持っているかを一切披瀝せず聞いていたから仕方がない。遠慮なく言ってくれたのはよかったし、勇気を持って忌憚なくアドバイスをしてくれたことは感謝している。
黙っていたニコニコ営業君が、唐突に「どうですか?」と聞いてきて答えに窮してしまった。トドメは「コンテンツマーケティングという言葉をご存知ですか?」だった。業界の人にしか伝わらないと思うが、この質問はかなりつらい。
なんというか…。おっさんが大学生の女の子に「君たちはTiktokって知っているのかい?」と訳知り顔で聞いているようなもんだ。100歩譲ってSNSってことならBeReal.とかを確認するのならまだわからんでもない。Tiktokなんて今さら「知ってるか?」と聞くようなものではないだろう。15週くらい周回遅れだし、「知っているか?」の先に続くおっさんの話が何であっても地獄でしかないのが想像できるだろう。そもそも、ある特定の単語を「知っているか?」と問うのはなかなかの商談センスだ。
これ以上話を聞き続けるのはまずいと思った私は、地獄は回避すべくひとまず「勉強になりました、検討します」といって商談は終わらせて逃げた。
様々勘案すると、現時点ではSEOに新しい機運はないように感じた。せめてAIとSEOについての近未来と、Googleがどうやってそれらを回避し結びつけるつもりなのか、その情報提供はしてほしかったのだが。得られなかった回答は自分でなんとかすることとする(※2)。
本運営日記は典型的なSEOの間違いであるらしいし有益ではないとのことだが、私にはやはりSEOは向かないと思ったし、それが当サイトから剥落したとしても集客や顧客満足はそれでは決まらないのではないかと思っているのでこの施策は捨てることにした。
この運営日記で「宮城・蔵王のおしゃれな釣り堀5選!手ぶらでOKってほんと?価格や注意点は?」なんてタイトルのゴミのようなクソ記事が出始めたらどうやらクローバーは相当経営が傾いてきたと思っていただきたい。このタイトルの記事なら10分以内に書ききれる自信があるが、100万積まれても書くことはないし、懲役3年を免除してくれると言われても潔く苦役を選ぶ。
私は、地味であってもお客様のお困りごとにどうやったら先回りできるかとか、嬉しいサービスや掛けられる一言を考えること、そのために一スタッフとしてどう成長できるかの方が大事だと思えてしまう。
仕方がない。性分なのだろう。20倍アクセスがあると言われてもそこに食指は向かないみたいだ。
今後も間違ったSEOを続けることになってしまうが、ごく一部の読者の方にはお付き合いいただきたい。負け惜しみではないぞ。
※1 ただ、どのようなジャンルでもそうであるが、例外の人や会社もあるんである。例えばSEOで言えばファベルカンパニーの辻さんやサイバーの木村さん、DMMの渡辺さんなどであれば話は別だ。
※2 私の情報感度ではもうSEOはかなりオワコンだろうと思っている。もちろん業態や規模にもよるのだが、少なくとも費用対効果は低くなっている。個人の体験としてもそもそもGoogleで検索することのシェアがかなり減少しているし、検索結果についても個別のサイトを見ることよりもページ上部のAIの結果で満足することが多くなったのではないか。今はその回答が不十分なことも多いがそこはGoogleだ、良化し、加速するに決まっている。よって、一周回って純広告やパブリシティ、地道な営業やコラボレーションの方が重要になっていると思うし、少なくとも施策の差別化ということであれば戦略的ではある。「宮城 釣り堀」よりも「釣り堀カフェクローバー」という名称の認知と指名検索の純度を高める方がKPIとしては正しいだろうと思っている。