水との戦い第2幕
外の流し台はお客様がバケツに水を入れたり魚の下処理をしたりするところ。
この水が9月に入ってから徐々に水勢が弱くなってきて、昨日ついに止まってしまった。
開業当初から鬼門は水だなと思っていたが残念ながら顕在化した。
クローバーは池も店舗も湧き水を使っている。行政が管理する上下水道はないので、何かあった場合の対処は全て自分たちで解決しなければならない。
問題を解決するには原因の特定が不可欠だが、鬼門な理由はこの特定が難しいことにある。
クローバーは3カ所から水を引き込んでいるが、水源から一体どこを通って引き込まれているかを知っている人はこの世に1人もいない。
同様に、敷地内に引き込まれた水がどのように配管され店舗や流し台から水が出るのかも正確に知っている人は誰もいない。
だから、「水が出ない」という理由の起点も深刻さも判定することができず、今は呆然とするほかない。
近所の人の話によると、震災以降水が出なくなってしまった家庭や水が溢れてしまう地面があったりするそうだ。それでいて、皆さんそのことについて「まぁそういうこともある」という感じで鷹揚である。都会ではなかなか経験ができないことである。
思えば、開業時に最もお金が掛かったのも水だった。飲食店の許可を取るためには清潔な水が不可欠なわけだが「どこから来ている水かわかりません」「清潔かどうかもわかりません」では当然許可は下りない。レアケースゆえネットにも情報は落ちていない。おまけに飲食業の許可基準が最近変わったらしく、古い情報しかないのである。
結果、さく井工事が必要ということになって色々な業者さんにあたったのだが、工事の途中で重要な配管が壊れてしまったり、本当は井戸がなくとも許可が下りることが判明し掘削途中でキャンセルすることになったりと大変だった。
井戸工事を請負ってくれる会社さんを探すのも勝手がわからず本当に困ったものだ。そもそも業者さんの調べ方がわからない。比較検討する材料もわからない。見積は数倍単位の価格差があるがその理由はわからない。ほとんどの会社はWebサイトがなく、電話をしても出ないところがあったり意味もわからず門前払いを食らったり(たぶん、"業界の常識"的に不適切な質問や問い合わせをしたのだと思うが理由はわからない)、FAXでのやり取りを当然求められるがFAXは持っていない、費用も期間もわからないという回答がほとんどで、極めつけは掘っても水が出るかどうかはわからないとのことだった。
結局、意志決定できる要素は揃わないまま、開業予定日から逆算してそれを実現してくれる業者さんにお願いするほかなかった。
全て自己資金のみで行っている関係から財布には限りがあり、将来の売上から回収していくしかないわけだが「水がでない」というのは開業できないことを意味しておりその道も断たれる可能性もあった。
私は前職がIT系だったこともあり、基本的に数字や事実に基づいて確度の高い予測を出し切った上で投資判断をするのがセオリーだ。そもそも情報が出きっていない中で判断を迫られるというのはただのギャンブルであり、胃がキリキリする判断はそれはそれで楽しめた。
今回も恐らく最後まで理由も原因もわからないまま判断を迫られるだろうし結構なお金が飛んでいきそうだが、それもまた楽しもうと思う。